2012年11月22日木曜日

色づく能島

海風が冷たくなってくるとともに、能島がカラフルになってきました。

遠景写真ではわかりにくいですが、ソメイヨシノはえんじ色、クヌギは山吹色、ハゼノキは赤く鮮やかに色づきます。


中央右が能島、左が鯛崎島(南東の方角から撮影)

そして、紅葉が終わり、葉が落ちると、城の平坦面(郭)がはっきりと見えるようになり、能島が城であったことがなんとなくわかるようになります。


古写真を見ると、かつての能島には現在繁茂しているような大木はありませんでした。
その後のソメイヨシノの植樹によってしだいに土壌が肥え、クヌギなど大木が育つ基盤ができていったと考えられています。

斜面に生えている大木は、強風を受けると脆い岩盤を抱いたまま倒れてしまう恐れがあります。また、大木の根は岩盤の亀裂や柱穴跡などの遺構に入り込み、さらに土器などの遺物を壊すことが近年の発掘調査でわかってきました。つまり、能島の樹木が、400年以上残ってきた遺跡を壊す原因の一つになっているということなのです。

冬でなくても、能島が城らしく見えるように植生整備を行うこと、例えば大木を低木に置き換えていくことで、能島城の保護にもつながると思います。博物館では、今後どのように能島の樹木を管理していくか、専門の先生方のご指導を仰ぎながら、考えているところです。(K)