2013年4月24日水曜日

島四国へんろ今昔①

「四国八十八カ所霊場と遍路道」の世界遺産登録を目指して、四国4県でさまざまな取り組みが行われていることは、みなさんすでにご存じだと思います。

四国外の方にはあまりなじみがないと思いますが、じつは、村上水軍博物館のあるここ大島にも「島四国」と呼ばれ、巡拝者のみならず、地域の人々に愛される八十八カ所の霊場と、200年以上も続く歴史が育んだすばらしい“へんろ文化”があります。

今治藩の記録『今治拾遺』によれば、島の医師、毛利玄得らが、四国八十八カ所になぞらえて、大島に八十八カ所の霊場を設けたといい、その開所は文化4(1807)年に遡ります。やがて“准”四国霊場に公認され、自由に巡拝できるようになったことで盛んになったと言われています。

この島四国の巡拝には歩いて二泊三日かかるそうで、旧暦の3月19日、20日、21日の3日間は、へんろ市が開かれ、札所では地域の方による“お接待”の風景を見ることができます。

今年のへんろ市は、4月28日、29日、30日の3日間です。
島四国およびへんろ市に関してくわしくは、伊予大島準四国霊場会ホームページをご覧ください。
http://shima-shikoku.jp/index.html



さて少し長くなりますが、今日は、「遍路のこころ、遍路を迎える地域のみなさんの温かいこころ」(あとがきより)を少しでも感じてほしいと、近年まとめられた一冊の本を紹介します。

『島四国へんろ今昔』




この本をまとめられたのは、戸代地区にお住まいの榊原さん。榊原さんは昭和15年生まれで、榊原さんの祖父の代から3代にわたって、おへんろさんに善根宿のお世話をされているそうです。そして、長年にわたってこの榊原さん宅を宿にされていた、明治45年生まれ、昭和10年頃から約60回巡拝をされた西条市の大先達、伊藤さんへ聞き取りをされたことを本にまとめられました。


榊原さんよりこの本をご恵贈いただき、村上水軍博物館の海賊ライブラリーに置いています。自費出版のため、あまり知られてはいないのですが、「遍路のこころ、遍路を迎える地域のみなさんの温かいこころ」の一端を知ることができると思います。ぜひご覧いただきたい一冊です。



 
村上水軍博物館は、14番千光寺から戸代地区にある15番三光庵へ、そして15番から友浦地区の16番三光庵へと向かうへんろ道沿いにありますので、へんろ市当日には、多くのおへんろさんが来館し、館内には鈴の音が鳴り響きます。

今年は新たな試みとして、この3日間のへんろ市にあわせて、当館が所蔵する昭和30年代のおへんろさんの写真5点を、1階のホールに展示したいと思っています。

28日からの3日間、大島は島四国へんろ一色になります。ぜひこの機会に長い歴史によって育まれた大島のへんろ文化に触れていただければ幸いです。

この写真については、また後日ご紹介します。(K)