2013年6月12日水曜日

インターンシップ・・・伯方高校生の奮闘日記

伯方高校の2年生3名がインターンシップ(就業体験)で村上水軍博物館にやってきました。
3日間、多種多様な博物館の仕事を体験してもらいます。

出身を聞くとみんな地元宮窪の生徒さん。小学生の頃から何度も博物館に来ています。宮窪には藤本さん、矢野さん、村上さんが多すぎて、なかなか名前までは覚えられませんが、たしかに顔は見覚えがあるような・・・。

宮窪の子たちは、小学生の頃から村上水軍の勉強をしているので、展示室の説明は省略。初日は受付の仕事やよろいの着付けを体験しました。

お互いに着せ合って練習

完成!

別バージョン

 午後は、小学生向けの「はくぶつかん探検シート」のリニューアル作業。そろそろ作り直したいと思っていたのでちょうど良い、と、高校生の若きセンスに期待しました。3人があーでもない、こーでもない、と、2時間ほどかけて知恵を出し合ってできた原案がこちら。


旧バージョンをベースに、なかなかすっきりとしたデザイン案が出てきました。問題案も提示され予想以上の構想発表にびっくり。そこで2日目はこれをデジタル化する作業の一部を見てもらうことにしました。夏休みまでには完成させて、子どもたちに使ってもらいたいと思っています。


2日目。今日は松山市の湯築小学校5年生のみなさん100名余りが来館されました。体験生にもクイズの採点や展示室の案内などを手伝ってもらいましたが、恐る恐る小学生に声をかける高校生^^。その姿がなんだかほほ笑ましくも見えましたね。



午後はこれまでとは全く異なる裏方の仕事。
体験生が小中学生の頃に何度も渡った能島城で出土した土器の整理作業です。

まずは注記(ちゅうき)。
注記とは、土器の破片の片隅に遺跡名、出土地点、日付などの情報を書き込む作業のこと。小さくて読みやすければOK。博物館でもっとも細かい仕事です。

いきなり本番とはいかないので、石を使って練習です。
自信がついたら土器に書いてみましょう、と目標を掲げたのですが・・・。

通常は極細の筆を使うのですが、うまくいかなくて竹串を使ってみたり、それをカッターで細く削ってみたりして悪戦苦闘。それでもなかなかうまく書けません。ため息ばかりついています。私Kも注記が一番苦手で、いつも作業員さんにまかせっきり。気持ちはよくわかりますね。


難しいと言いつつも、初めてにしてはなかなか上手。
新聞の字よりもはるかに小さい字が書けています。

「こんな仕事もあるんですね。」
これぞインターンシップ。ふさわしい言葉が出ていました。

注記のあとは、接合。土器の破片をくっつける作業です。
「頑張って一つの器を復元しましょう。そうすれば展示室に飾られますよ。」


体験生を鼓舞したつもりだったのですが、悪戦苦闘した注記のダメージを引きずったのか、一つを接合するのがやっとでした。もう時間だよ、と伝えた時の悔しそうな顔が印象的でした。

「博物館に展示されている土器を見ることがあると思うけど、誰かがこの復元作業を行っているんです。地道な作業で大変ですが、これも大事な仕事。」と締めくくり、2日目の仕事を終えました。

博物館の仕事は、展示やガイドだけと思われがちですが、さまざまな作業を経てようやく形になってお客さんに紹介することができます。そのことを高校生にも知ってもらい、将来への可能性を広げてほしいと願って、とにかく色々な仕事を体験してもらっています。

明日は何をしてもらおうかな・・・。
よし、展示やガイド以外の学芸員の仕事を体験してもらおう。(K)